LCC(ライフサイクルコスト)が大切です
オーナーが建物にかける費用は建設費だけではありません。竣工から役目を終えて解体されるまでの総費用をしっかりコントロールしてこそ経営の基盤が確立されるのではありませんか?
皆様一時的に大きな費用が掛かる建設費には、無関心ではいられません。当たり前の話です。設計コンペやら競争入札方式やらを駆使してなんとかよりコストパフォーマンスの高いものを手に入れたいと考えます。しかしながら、建物の長い使用期間を考慮すると、図の「STAGE2」のほうが大きなコストがかかるのです。竣工後のコストコントロール、すなわちFM(ファシリティマネージメント)に目を向けるべきです。
「ファシリティ」とは
ファシリティとは、「容易なこと」「便利さ」「便宜(を図るための設備)」といった意味を持つ言葉です。ビジネスにおいてはその意味が転じて「企業や団体の経営にかかわる全ての設備や機器」という言葉として使われています。実際は「土地、建物、施設」という3点を指して「ファシリティ」と呼ばれることが一般的です。
ファシリティマネジメントに取り組むにあたって
ファシリティマネジメントを実行するにあたっては、新築から取り壊しまでの間にかかるすべての費用を計算することが大切です。これはライフサイクルコスト(Life-Cycle Cost)と呼ばれます。一般的なビルの場合、LCCの3/4が竣工後の費用となる場合が多いため、住み始め・使い始め以降にかかる費用をいかにして減らすか、というテーマを突き詰めることが重要です。
具体的な例
ポイントとなるのは、一度建てた建物を可能な限り長持ちさせることです。そのためには日頃の手入れや定期的な修繕が不可欠ですが、同時に無駄なエネルギーを使わないといった対策が必要になります。省エネタイプの空調や照明機器の採用、断熱処理といった対策がこの際の具体例です。また、安全性を高めるための地震・防犯対策、入居者からの人気を維持するための外観や機能の魅力向上に向けた取り組みも、ファシリティマネジメントの一部になります。
日常的なお手入れと定期的な修繕
無駄なエネルギーの削減や地震等の災害対策
外観の整備や機能の充実による魅力拡大
これらの取り組みに代表されるように、低コストで大きなリターンを得るためには、時代や環境に合う経営計画を立て、メンテナンスを超越する総合的マネジメントが必要です。ビルが本来持つ収益性や快適性、利便性といった数々のポテンシャルを引き出して価値を最大化させるためには、長期的な計画を立て、ビルを最も良い状態へと最適化させなければなりません。